12月25日はイエス・キリストの誕生を祝うクリスマス(降誕祭)です。英語のクリスマス(Christ's mass) の語源は、キリストのミサという意味です。フランス語では、Noel(ノエル)といいますが、ラテン語のNatalis(ナタリス)=誕生と言う意味に由来しています。ポルトガル語ではナタラといいます。キリストがいつ生まれたのか聖書に記述はありません。12月25日にクリスマスを祝ったという最古の記録は、345年のローマとされています。ローマ帝国では太陽が崇拝されており、ローマ暦では12月25日が冬至にあたります。長く厳しい冬が終わり、春の到来を告げるこの日は、太陽の復活を祝って冬至祭が行われていました。キリストの誕生を太陽が昇ることに譬えられて、この日がクリスマスになったといわれています。
クリスマスと深い関わりのある香りといえば、乳香(フランキンセンス)です。乳香は、アラビア南部のオマーン、東アフリカのソマリアを原産するカンラン科の樹木です。樹皮に切り込みを入れると透明の樹液がにじみ出て、空気に触れると固まり淡黄色に変わります。精油は樹脂を水蒸気蒸留法により抽出します。英語では、フランキンセンス(Frankincense)と呼ばれますが、frank(真正の、自然の)とincense(香り)、真正の香りという意味です。オリバナムとも呼ばれますが、古いフランス語で「ほんとうの薫香」を意味しています。
乳香は、旧約聖書(マタイ伝第2章11より)の中に、「黄金とともに不老長寿の妙薬として幼子キリストに捧げられるエピソード」に登場します。東方の博士たちは、黄金・乳香・没薬を贈り物としてキリストに捧げました。黄金は王の権威、乳香は祈りのシンボル、没薬は非常に高価な薬です。古代より乳香と没薬は神聖な神の香りとされており、宗教的にも医薬的にも黄金に勝るとも劣らない貴重な香料でした。古代エジプトでは、ミイラの防腐剤としても用いられ、また、化粧品や医薬品として使われていました。乳香の薫香が呼吸を落ち着かせ瞑想に役立つことから、宗教儀式との関わりが深く、教会では今日でも乳香を薫らせています。日本へは754年、唐の僧侶、鑑真が仏教儀式の薫香用に伝えたといわれています。「法華経」の中には、「薫陸香(くんろうんこう)」として登場しています。世の東西を問わず、香りは宗教儀式に欠かすことのできない神聖なものでした。
乳香は、宗教儀式で焚かれることからわかるように、心身を清らかにするパワーがあります。心を和ませ、安らかな感情を呼び起こし、また、心を高揚させます。体に対しては、粘膜にやさしく、肺を浄化するのに役立つといわれています。体に対しては、息切れ、せき、気管支炎の症状の軽減などの呼吸器系に作用して、呼吸を深く、安らかにします。鼻かぜ、せき、気管支炎、咽頭炎の緩和剤として使用されています。肌に対しては、老化肌を活性化させ、シワをのばして消すといわれています。皮膚に対して収斂作用があるので、皮膚の分泌を調整します。創傷、ただれ、潰瘍、炎症などに効果があるといわれています。
年末に向けて、何かと忙しい日々が続きますが、乳香とスィートオレンジを室内に燻らせて、聖夜の香りで心身を清らかにしましょう。乳香の清らな香りと、オレンジの甘い香りが、温もりや優しさを呼び起こします。乳香は呼吸器系に作用して、風邪気味の症状緩和に役立ちます。オレンジは、疲労を回復し、緊張感を解きほぐし、気分を明るくします。
使用上の注意:原液を皮膚や粘膜に直接付けないようにして下さい。敏感肌の方、幼児やペットがいる場合は、精油の使用量を少なめにしてください。