1月は新しい年の始まりです。また、「初春」「孟春」「上春」と呼ばれるように春が始まるおめでたい月です。「明けましておめでとうございます」という新年の挨拶は、年が明けて神様を迎えるときの祝福の言葉ですが、「新春を迎えて芽が出る」という意味も含まれています。お正月は、その年の豊穣を司る歳神様を迎える行事です。人々は玄関に門松を立てて、その年神様が天から降りてくるときの目印としました。
今月のアロマテラピーは、初春にふさわしい神聖な樹木、松の香りを紹介しましょう。
古来より神様が宿る木と信じられてきた松は、常緑であることから不老長寿の象徴でもあり、能や歌舞伎の舞台の背景、盆栽や門松、慶事に好んで用いられています。よく見かけるのは二葉性のアカマツとクロマツです。本州の北端から四国、九州、屋久島まで広く分布しています。奄美大島から琉球列島には、二葉性のリュウキュウマツが分布しています。海辺近くで見られるのがクロマツ、内陸で見られるのがアカマツですが、木材の性質は特に違いは無いようです。松は、私たちの身近に生育しており、日本人の生活に溶け込んでいます。古くから松明として闇夜を照らすエネルギー源でした。また、刀や農具などの鉄製品、古伊万里などの焼き物の燃料として使用されてきました。松は重くて、曲がりにくく、強度が高いので、木造建築の梁や桁に使用されています。
松の針葉や球果、樹脂には、森林の清々しい芳香がありますが、これは松の精油に含まれるテルペン類などの揮発性物質です。門松には魔よけの意味があり、門前を清めて悪鬼や邪気が家内に入らないようにとの願いが込められていますが、これは松に含まれるテルピネオールという強い殺菌作用の成分に由来すると考えられます。
アロマテラピーで用いる精油(学名:Pinus sylvestris)は、マツ科のパインの針葉と球果から水蒸気蒸留法で抽出されるものです。パインは80種類以上ありますが、精油に用いられるのは、主としてスコットランドパインとノルウェイパインです。
パイン精油の主な成分は、カンフェン、ジペンテン、フェランドレン、ピネン、シルペストレンなどのテルペン類、ボルネオール(アルコール)、酢酸ボルニル、酢酸テルピニル(エステル類)などです。パイン特有の森林の香りは、デオドランド効果や殺菌消毒特性があることから、石けん、バスソルトなどに利用されています。
アロマテラピーでは、心に対しては、精神的な疲労の改善に用いられます。身体に対しては、強力な殺菌消毒作用があることから、気管支炎、喉頭炎、流感の改善に用いられます。体温を調節し、呼吸器の疾患全体を改善し、息切れ、鼻づまりを治すといわれています。また、腎臓を浄化する働きがあり、膀胱炎、肝炎、胆嚢の炎症を改善するといわれています。
アロマランプで芳香浴や、加湿器に数滴垂らして、パインの心地よい森の香りを楽しみましょう。爽やかな森林の香りは、喉や肺などの気管に働きかけます。殺菌消毒作用がありますので、お部屋の空気を浄化します。
寒い冬には、パインのアロマバスがお勧めです。日本人には馴染み深い松の香りが、疲れた心身を解きほぐして、体の芯から温めてくれます。
香りの成分が湯に良く溶けるように「松の香りのバスソルト」を作りましょう。
作り方:容器に天然塩30〜50g〈1回分〉を入れます。パイン精油5滴を垂らして、ステンレス製のスプーンでよくかき混ぜます。塩全体に香りがいきわたったら、浴槽にいれてよくかき混ぜ、溶かします。半身浴(冬は40度位)で約20分、ゆったりと漬かりましょう。ジワーっと汗が出てきます。パイン精油は、血行を促進して、身体のすみずみまで血液を循環しますので、リウマチ、痛風、坐骨神経痛の痛みを和らげ、肩こりや腰痛、筋肉痛に効果的といわれています。
乾燥肌の方は、蜂蜜(小さじ1杯)+ パイン精油(3滴)をお試しください。
松は「不老長寿」の象徴です。新年は、縁起の良い松の香りに清められて、一年の健康を祈願しましょう。(症状別ケア参照→http://www.apr-aroma.com/lecture/11.html)
使用上の注意:パイン精油には、皮膚刺激があるので、敏感肌の方は、使用量を控えめにしてください。